top of page
  • 執筆者の写真鈴木良太

「Daddy Killer」第二十一話「狩り」。

僕はあの事件から程なくして、会社を辞めた。


同僚からは不思議がられていた。


もともと、次郎から勧められて入った会社だ。


未練はない。


自分の人生は自分で決めるもの。


僕がやりたいことをやる。


僕がこの世界でできること。


この世界のためになることをするんだ。


僕と同じように苦しんでいる子を助ける。


そのためには、若い子を食い物にしているおじさんたちを抹殺する。


どうやって探すか?


ゲイ用出会い系アプリ66を使うしかないか。


66をみる限り、若い子好きのおじさんは星の数ほどもいるように感じてしまう。


遊び目的なのか、本気なのかよくわからない。


お互いが遊びだったら、問題はないんだろうけど。


遊びがどこで本気に変わるかもわからないし。


いろんなパターンが考えられる。


ああ。


ネットは顔が見えないから、よくわからない。


あっ。


そうだ。


思い出した。


井戸沢は66をしていなかった。


僕の知る限りだけど。


ある程度、社会的地位がある人はもしかしてやらない?


ケースバイケースかな?


66をみるよりは現地調査をしよう。


とりあえず、僕の行動範囲である関西に絞って、関西のゲイバー、特におじさんと若い子が集まるお店を片っ端から行ってみよう。


京都、大阪、神戸辺りのゲイバーに行ってみよう。


まずは、京都のゲイバーだ。


僕はネットで京都のゲイバーを調べ、夜になって行ってみた。


「いらっしゃい。あら。見ない顔ね。」


「こんばんは。ネットで見たんですけど、ここはおじさんと若い子のお店なんですか?」


「20~50代ってところかしらね。お兄さんは歳上が好きなのね。オススメのおじさんたくさんいるわよ。」


「わ~楽しみです。」


「ほら。あなたの二つ隣のおじさまはいかが?」


「え~と。あっ。」


「もしかして、良太くんかい?なんで京都にいるの?」


「カズさんですか?久しぶりです。」


「半年ぶりくらいだね。良太くん全然メッセージ返してくれないんだもん。嫌われたのかと思ったよ。」


「えっ。なになに。まさるの知り合いだったの?この世界、相変わらず、狭いのよね。」


カズさんか。


嫌いじゃないけど、何も感じないんだ。


この人も若い子が好きなのはわかっているけど、井戸沢とは違う。


たくさんの若い子に声をかけまくっているんだろうけど、成功率は低いだろうな。


中毒性を感じない。


依存性も。


顔が悪いわけではない。


歳上好きの若い子は好きな顔かもしれない。


僕はカズさんに初めて会ったとき、40代って聞いていたからちょっとあれ?って思ったけど。


今の僕からしたら、40代ってすごく若く感じてしまう。


井戸沢くらいの重厚感がないと物足りない。


コミュニケーション能力。


社会的地位。


中毒性。


依存性。


体の相性。


これらが整ったおじさんがおそらく若者たちが喉から手が出るほど欲しい人材。


それを兼ね備えたおじさんを探さなきゃ。


カズさんに会ってしまったから、このお店からは出よう。


「じゃあ、カズさん。僕は大阪に帰ります。」


「え~。せっかくだから飲もうよ~。」


僕はそのままお店を出た。


ちょっと、気分を変えるため、電車で神戸に行くことにした。


神戸三宮のゲイバーに向かった。


とりあえず、おじさんが居そうなゲイバーに入った。


まだ21時前だったので、会社帰りのおじさんが多かった。


「あらっ。いらっしゃい。お兄さん。初めて?」


「はい。ネットでお店調べてきました。僕、おじさん好きなんですけど、僕みたいなのを好きな人いますか?」


「ここにはたくさん素敵なおじさんがいるわよ。右からたくみ。真ん中さとし。左は五郎。さあどのおじさんがいい?」


ん~。


なんだろ。


みんなかっこいいおじさんなんだけど、なんか違う。


ん?


一番端にいるおじさんに何かを感じた。


「一番奥にいる方が気になります。」


「えっ。内山さん!?確かに若い子が好きだけど。ってか若い子が好きすぎるけど。後悔するわよ。」


それでいいんだよ。


どんだけ若者をおもちゃにしまくっているか知りたくてうずうずする。


それにこのおじさんの眼光が気になったんだ。


パッチリとした大きな目の中の淀み。


この淀みはおそらく性的欲求の目。


若い子を性的対象としかみていないのだろう。


ゾクゾクする。


「はじめまして。良太です。」


「はじめまして。内山です。若いね。何歳?」


「26歳です。」


「一番いい年頃だね。モテるでしょ?」


「全然、モテません。ゲイなのに、女性からの方がモテるかもしれません。」


「そういう子好きだよ。良太君。僕がいつも行っているお店に来るかい?」


「じゃあ行きます。」


そういって、このゲイバーを出て、内山さんと別の三宮ゲイバーに行った。


「じゃああらためて、僕と良太君の出会いに乾杯。」


「乾杯。」


内山さんの特徴は、短髪の白髪まじりで、メガネをかけている。


口元に髭があり、顎髭もある。


顎髭に触りたい。


体格はポッチャリしており、おそらく167cm78キロくらいに思われる。


年齢は。


「内山さんはおいくつなんですか?」


「何歳にみえる?」


出たよ。


毎度お馴染みこの質問。


「51歳な気がします。」


「実は56歳です。若くみえた?嬉しい。」


「喜んでもらえて僕も嬉しいです。僕のここも喜んでいます。」


僕は内山さんの手を掴んで、僕の股間を揉ませた。


「大きい。良太君。もう大きくなっているの?」


「なんか僕、眠たくなっちゃいました。どこかでおねんねしたいです。」


「じゃあおねんねしよっか。大丈夫。何もしないからね。」


内山さんはどこかのビジネスホテルを取ってくれた。


ホテルの部屋に着くなり、僕は内山さんに襲いかかった。


僕は内山さんの体中にかぶりつき、全身を食べるかのように衣服を脱ぎ散らかせながら、舐め回した。


あれ?


なんでこんなに欲情しているんだろう。


井戸沢として以来、誰ともしていなかったからなのか。


それとも、このオヤジが性的対象過ぎるのか。


どっちでもいい。


今はこのまま快楽を楽しむのみ。


僕が放火殺人犯だと知ったらこのおじさんはどう思うだろう。


どうなってもおもしろい。


あああ。


んんん。


出ちゃう。


「良太君。すごいね。気持ちいいよ。僕も出ちゃう。」


「もう一回。やるぅ~。」


「えっ。もうできないよ。朝まで寝ないと。」


「えっ。できないの?」


そのとき頭に浮かんだのは、井戸沢だった。


井戸沢はできたのに。


何度も何度もやってくれたのに。


僕も井戸沢は一晩で何度も何度も絶頂に達したのに。


なんてつまらないんだ。


「僕、帰ります。」


「ちょっと。良太君?」


そう言って、僕はホテルから出た。


なんだこの虚しさ。


時間を無駄にしただけか。


いやいやそれより、あのジジイを地獄に落とすんじゃなかったっけ?


そんな気もおこらねぇ。


だってあいつ、井戸沢ほどじゃないから。


若い男を数人手をかけているだろうけど、井戸沢のように器用にやっているように思えない。


退屈だ。


やめようかな。


こんなこと。


お店とかで探すのはやめよう。


今の僕なら、外にいるオヤジたちも分別できるような気がするんだ。


僕を見るときの目の中。


あの淀んだ瞳。


それさえ見つければ、同じことがやれる。


それからでもいい。


オヤジたちを殺すのは。


別の目的を探しながら、同時進行していこう。


仕事をやめて、僕がしたかっ

たことはインドに行くこと。


唯一、僕が今やっている趣味、仕事が株式投資。


それの入り口がインド関連の投資。


だから、インドに行きたくなったんだ。


僕がこの先どうなるかわからない。


警察に捕まるかもしれない。


それまでにインドに行きたいんだ。


インドには、船で行く。


船で行きたい理由があるんだ。


そのためには準備をしなくちゃ。


パスポートとビザとやることはたくさんだ。


つづく。


閲覧数:33回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page