僕はもう山本さんのことを考えない。
どうせ、恋人がいるんだろ?
男か女かわからないけど。
もう、すごく悔しい。
「鬼滅の刃」の映画をおそらく二人で観に行きやがって、僕は絶対にいかない。
山本さんのせいで。
映画に行ったら、山本さんのことばかり考えてしまいそうだ。
でも、仕事で必ず山本さんと出会う。
無視するなんて、大人のすることじゃない。
もう、当たり障りのない天気の話しかしない。
とかなんとか考えていたら、山本さんが来た。
「お疲れ様です。」
「今週は先週よりだいぶあったかい。もう冬の気持ちでいたのに、なんか調子狂う。イヤーマフも新しいの買う予定やったけど、こんなんやったら買えない。」
「こんなに暑くてイヤーマフしたら、蒸れるで。
蒸れる。
なぜだろう。
とても卑猥な表現に聞こえる。
その時の山本さんの目つきもいやらしかった。
僕の胸がドキドキしている。
感じてしまっている。
山本さんに飛びつきたくなった。
もう、僕のバカバカ。
なんでこんな日に限って、山本さんは優しいだ。
ホント、彼氏か彼女が憎らしくてしょうがない。
呪力を込めようかな。