池内さんが今年最後の挨拶に来ていた。
僕は豊橋さんと池内さんが一緒にこっちに来るのがわかったので、人気の少ない事務所に逃げ込んだ。
ドアの隙間から覗き込むと、僕が逃げ込んだ事務所を二人は通り過ぎた。
僕は勝ち誇った。
よっしゃ!!
池内さんに絡まれなかった!!
しかし、おかしい。
何?
僕の気持ち。
少し寂しい。
自分から逃げたくせに。
無性に寂しいのだ。
何なんだ。
いったい。
その後、豊橋さんに会った。
「さっき池内さん。来てましたね。」
「新年会やろうって言ってたぞ。鈴木も来るだろ?」
「僕は行きません。関係ないので。時間の無駄です。」
「えっ。おいっ。鈴木!!」
えっ。
僕は怒ってる?
なんで?
自分の気持ちがわからない。
池内さんは僕が愛した五人の男たちに入っていないはずなのに。