世界的にこんな状況になってから、僕はある人と顔を会わせていない。
僕とは、直接仕事で関わりがないにも関わらず、やたら僕にちょっかいをかけてくるのが、「池内さん」。
いきなり抱きついてきたり、仕事の邪魔をしてきたり、卑猥な言葉で僕を困らす。
「おい!!鈴木!!俺のことお前好きだろ?」
「俺は、お前のこと愛してるねんぞ。」
「チューしよ。チュー。」
他の同僚の人がいる前で、平気でそういうことしてくる。
正直・・・・・イヤでない。
イヤだったら、もう上記のことはセクハラ以外なんでもない。
たしかに池内さん、嫌いではない。
男気あるし、僕と違って色黒だし、僕と違って頭もいい。
物もよく知っている。
問題は、人のいる前でそういうことをやってくることだけだ。
同僚たちからは、
「池内さんきたら、鈴木を差し出せ。おい!!鈴木!!鈴木!!
「なんですか?僕、池内さんと仕事でなにも関係ないんですけど?」
「いいやん。ちょっと、こいよ。池内さん。お前の話ばっかりするし。」
「別に。僕とは関係ないです。僕の業務に戻ります。」
と、僕は冷たい対応をしてきたつもりだ。
でも、ホントは池内さんのことも気になっている。
それに気づいたのは、2〜3年前だった。
ちょうど2〜3年前の7月、大阪でずっと雨が降っており、大雨により避難勧告が出ていた。
僕はそのとき、インドに旅行に行っていた。
日本のニュースでもチェックするかと、日本のYahoo!を開いたとき、関西では避難勧告が出ていた。
メディアでも、一日の総雨量が何か月分降り続いているなどと言っており、関空が沈むんじゃないかと思ってしまった。
僕はなにを思ったのか、一番に連絡したのが、池内さんだった。
「日本やばいって聞いたんですけど、大丈夫ですか?」
「おう。俺のところは大丈夫やで。ありがとう。」
そして、帰国してまた職場で池内さんに会った。
「おい!!鈴木、この前はありがとな。お前からのメッセージ嬉しかったぜ。やっぱりお前俺のこと、愛してるやろ?」
なぜか、図星だったのか、僕は腹が立った。
だから、今もこんな状態で池内さんに会ってないけど、連絡は取らない。
経済活動がもっと再開してから、おちょくられるのが目にみえているから。